第1回東京座談会

口加高校の生徒が修学旅行で上京するのに合わせ、学習の一環として関東口加会(関東地区同窓会)との座談会を開催した。OBの生き様や逸話、母校に対する思いを伝えることにより、生徒の進路意識を高め、母校に対する誇りや母校愛が高まってくれることが主な目的での開催となった。
時は2015年12月9日(水)、場所はビジョンセンター浅草。出席は中田教頭以下5名(松竹先生、内田先生、上野先生、後田先生、宮川先生)と生徒129名(2年生)。関東口加会からは会長の平野、馬場副会長、松本幹事、中島事務局長、宮川事務局のOB5名が参加。狭い貸会議室だったこともあり、男子学生は体育座り、女子は椅子を寄せ合っての参加となったが、会場は若さ溢れ熱気ムンムンでのスタート。
中田教頭の挨拶では開催に協力いただいた関東口加会に対する御礼のあと、一字一句聞き漏らさないように、頭で理解できない時は心で感じるようにと生徒に対しての心構えの言葉があり。会長の平野からは「ようこそ皆さん!」と歓迎の挨拶と関東口加会の簡単な紹介の後、早速4名のOBによるプレゼン開始。司会進行は平野。

トップバッターは馬場伯明さん(南串山町出身 S38年卒)
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「友情無限・友は宝だ」というテーマで、高校時代の懐かしい友人との写真をスクリーンに映しながらわかりやすい説明があった。口加卒業後、京都大学、川崎製鉄(JFE)、現在は学校法人順天堂勤務と自己紹介。卒業から52年経った今でも素敵な人生を歩めているのは高校の友人のおかげであり心の中から感謝している。苦しいとき口加の仲間は生きる力の源泉となっている。
運動会での出し物としてタコ(蛸 Octopus)をクラス全員でつくり一致団結したこと。修学旅行は東京組と南九州組に分かれて行ったことで絆がより強くなり、長い付き合いに繋がっていること。タコは燃えてしまったけど思い出は今でも心の中に残っている。
沢山の親友を作って欲しい。また、ふるさとや口加高校をいつまでも忘れないで欲しい。
最後にシンガーソングライターの奥華子さんの「君と僕の道」の紹介があり、「君と僕の道はつづいて行く、その道の先に新
しい自分たちの道を作っていって欲しい」という願いで締められた。

次は紅一点の中島直子さん(加津佐町出身 S48年卒)
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お茶の水女子大に進学した目的は、専業主婦として子育てするために学問することであり、将来は素敵なお母さん、立派な奥さんになりたいという思いからだったとか。卒業後は結婚し二人の子供にも恵まれ専業主婦として頑張り、子育てがほぼ終わった45歳くらいから母校の大学で社会復帰した。今では女子大生と係りながら楽しく働いている。
その中で感じたことをいくつか述べたい。
自分がやりたいと思ったことは年齢に関係なく実現可能であること。今、進路とかでうまく行かなくても可能性は沢山ある。
食べることを侮ってはいけない、身体が資本。一人暮らしに備えて自分が食べる料理くらいは自分で作れるようになって欲しい。
一人で悩まないこと、悩んだら誰かに相談すること。大学には学生相談室があり、関東口加会でも後輩の相談にはのる。
以上の3つを上げ、それぞれに詳しく説明があった。

三番手は宮川隆登司さん(南有馬町 H6年卒)
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二度目の成人式を迎えた40歳の宮川です(笑)。原城幼稚園から大分大学工学部へ進み、学生時代から将来は起業家になると決めていた通り、2007年に(株)アッツを起業したと自己紹介あり。今後は激動の時代。人工知能の発達、人口減、価値観の変化など私達を取り巻く環境が大きく変化する時代において、働くということとはどういうことかを石工の例を上げながら細かく説明。これからは単なるお金や生活のためではなく、利益を超越した目的や価値を目標にすべき。
また、「できるだけ早くやりたいことを見つけてください」というイチローの言葉を上げ、見つかるためには「WHY(なぜ)」と自分に問いかけることも必要。
大学進学、就職または人生の中で迷った時は「どっちが正しいか」ではなく「どっちが楽しいか」で決めるという宇宙兄弟の話は面白かった。見つからなくても「急ぐ必要はない。君の速さで歩けばいい。君が君でいることが何よりも大切なんだから」。
最後に、Facebookを公開しているので何でも相談してくださいとのお話があった。

締めは松本仙作さん(口之津町出身 S38年卒)
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皆さん良くご存じの白浜海岸のすぐ隣の家で育ち、大学卒業後は大手機械メーカに就職。担当が輸出関係のためオーストラリア、アメリカ、中国など海外常駐が20数年、海外出張を含めると50数か国訪問した経験がある。息子さん二人はアメリカの大学を卒業し今でもアメリカで生活している。そのような関係から「アメリカの高校卒業と大学入学」というテーマで日本とアメリカの教育制度の違いについて話したい。アメリカの高校は四年制で義務教育。飛び級制度がある。大学は日本と同じ四年制だが入学試験制度が大きく異なっているのが特徴。一発入試ではなく、SATスコア(日本のセンター試験)の他に4年間の学校成績、エッセイ、推薦状、家計状況、スポーツ歴、奉仕活動や文化活動など、入学願書が20数ページにわたる大量の項目によって合否判定される。大学教育もバランスのとれた社会人養成を目標にしており、頭が良い、運動はセミプロ、芸術を理解、リーダシップや行動力を要求される。日本は高校時代猛勉強し有名大学に入学後はあまり勉強しなくても卒業でき、会社に入ってから再教育するシステム。アメリカは逆で大学入学は比較的簡単だが卒業するのが大変。SteveJobsやBillGatesなど若い大企業経営者やJ・F・Kennedyなどの政治家が多く出るのはこのシステムの違いにある。松本さんは国際実業家らしく、口加に国際学科を設置するよう今夏は下釜校長に提案されたとのこと。

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生徒を代表して生徒会長の宮田翔平君と林田悠月さんより感想と御礼の言葉があった。
宮田君は突然の指名に少し慌てた様子でしたが、自分は進路のことはまだ決めていないし色んなことで悩むことが多い。また悩んでも自分で決めることができないことも多いが、今日OBのお話を聞いて参考になることが多くあったのでとても心強くなった。高校生活も残り1年近くとなってきたが、友達も沢山つくり、思い出も沢山作りたいと思うとの感想でした。
女性代表の林田さんからは先ず、今日は忙しい中、このような座談会を設けていただき心から感謝しますという御礼のあと、来年は3年生になり進路のことも決めなくてはならない。簡単には自分で決められないことも多いと思うが、プラス思考で前を向いて進んで行きたい。また、高校時代は勉強や部活・友達付き合いなどで悩むことが沢山ある。その時は、私は出来ると信じ、思いっきりやりたい。このメンバーでは最初で最後の修学旅行なので皆との絆を深めるよう最高に楽しみたいという力強い言葉をいただきました。

生徒達が座談会終了直後に作成の感想文約30通がOB全員へ送られてきました。進路の選択肢が広がったとか、OBは口加や故郷に対する思いが強く、また、友人を大切にし、何よりも誇りを持たれているその姿が尊敬できるなどの記載がありました。感性があり、常に相手の立場で考えることができる人間味溢れた生徒達なんだと感動しました。校訓にある「豊かなる情感・透徹せる知性・強靭なる生命力」という口加魂は113年の長きにわたり受け継がれていると確信します。今回は初めての座談会でしたが開催して良かったと心から思いました。

文責 関東口加会会長 平野康博

2015年12月